【書評】中村慎太郎著「サポーターをめぐる冒険」

献本頂きました。

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昨年10月に、このブログエントリーがバズった中村慎太郎氏が遂に書籍を出版しました。

Jリーグを初観戦した結果、思わぬことになった。

2日間で10万アクセスいったようで、当時のお祭りが懐かしいです。未読の人はまずは上記エントリーをご覧ください。

この本はザックリ言うと、元々Jリーグに興味のなかった著者が、上記の記事で取り上げられたFC東京対鹿島戦を現地観戦し、一気にJリーグの虜となり、段々と「Jリーグ中毒」になっていく様が刻々と語られている書籍です。僕も第5章で登場してます。

意外だったのが、この書籍のデザイン。

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著者は何度か会ったことあるんですが(そういえばブラジルでも会ったw)、見るからに東大理系出身的な雰囲気を醸し出している方で(良い意味でねw)、こんなポップでトロピカルな色合いの表紙デザインを採用してくるとは、予想だにしませんでした。もしかしたら編集サイドの意向が大きいかもしれませんが。。

既に「Jリーグ中毒」な人が読めば、そこら中に共感するシーンが出てきます。人間というものは「共感」という感情にすごく弱い生き物でして、特に読み物ってのは感情移入できちゃうとそこに展開されるストーリーが格段と面白くなる。自分自身におけるサポーター人生の初期の頃を懐かしく回想できます。

とはいっても、個人的にこの本は、是非Jリーグに興味がない人に読んでほしい。まずは「Jリーグ中毒」の人が購入して、それを布教活動用として、サッカーに興味ない知人にどんどん貸していくのが良いと思います!決して営業妨害ではないですw さすがにサッカーに興味ない人にこの本買えというのは敷居が高いと思われるので。。

中村氏の文章で特徴的な部分は、ズバリ「比喩的表現」にあります。本の中で「村上春樹が好き」と出てきて、「ですよねーー」的な感想を抱いてしまったw

例えばこの文章。

サポーターであることの最大の特権は、「物語」の中に入れることではないだろうか?

僕ならば「サポーターは当事者だ」と簡潔に述べて終えるところを、彼は「クラブと共に物語を紡ぐ」ことこそが大切だと説いている。この表現はカッコいい。鳥肌が立った。表現者として「やられた」と思ったw

一点残念だったのが、基本的に試合観戦レポートを軸として本が進んでいって、彼独自のサポーター哲学的な文章が各章に散りばめられていて、1カ所にまとまっていないこと。僕としては、彼の現時点の「サポーター論」を深めに知りたかったので、その結論を述べた濃厚な章が最後にあっても良かったかなと思います。

とはいっても、それはあくまで僕個人の意向であって、作品の完成度はかなり高いです。とりあえず、10万PVいった上記ブログを読んで感動した人は、その彼の「物語」の続きを是非読んでみてください。

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