シドニー→ニューキャッスルの鉄道移動の最中に、また1冊読み終わったので書評書いておきます。旅の最中はホント読書が進みます。
58万部売れてるそうです。普段僕は自己啓発本なんて読まないんですが、この本は「ジャケ買い」してしまいました。何とも帯のメッセージが、僕にとって強烈過ぎました。
「自由とは他者から嫌われることである」
自由に生きる道を突っ走り、ネット上でよく炎上する僕にとって、これほど刺さるメッセージはありませんでしたw
ちなみに僕は胡散臭い自己啓発系は好きではないんですが、純粋な哲学の分野は割と好きです。自分自身、10年以上前から哲学チックな日記は書き溜めてきています。
「過激な帯の文」で読者をおびき寄せて、実際の中身は違う系の詐欺に何度も僕ははめられてきましたが、この帯の文章は、逆に良い意味で期待を裏切られました。
「自由奔放な生き方は、そりゃー誰かには妬まれたり、嫌われたりするもんだから、開き直って生きなさい」みたいな意味かなと思って読んでみたら、そんな浅はかなものではありませんでした。非常に深い、そして納得感のある「諭し」でした。詳細は是非書籍を読んでみてください。
僕がKindleでハイライトした部分を列挙しておきます。
- 経験そのものではなく、「経験に与える意味」が重要
- 劣等感とは主観的な思い込みである
- 大切なのは何が与えられているかではなく、与えられたものをどう使うか
- 人間の悩みはすべて対人関係の悩み
- もし面罵されたなら、その人の隠し持つ「目的」を考えよ
- いくら自分が正しいと思えた場合でも、それを理由に相手を非難するな
- 人の期待を満たすために生きているわけではない。「承認欲求」を否定せよ。
- 他者の課題と自分の課題を切り分け、他者の課題を肯定的にあきらめよ
- 叱ってはいけない、褒めてもいけない、「勇気づけ」が重要
- 仕事の本質は他者への貢献であり、幸福とは貢献感である
この本の哲学の全部が全部、すっと読めたわけではありません。最後の方で縦の人間関係を全否定する場面や、目標や計画を立てるのではなく、ただ今を真剣に生きよと諭す場面、または宇宙までも範囲とした「共同体感覚」を説明する場面は、何とも受け入れ難い部分ではあります。縦の人間関係や未来の計画を否定されること自体が、ビジネスパーソンにとって苦痛ですし、「共同体感覚」なんぞちょっと宗教っぽくて疑心暗鬼になってしまいます。
ただ、後半に「この哲学を実践できるようになるには、自分の生きてきた年数と同じ年数分かかる」的なことが書かれていたので、少しずつ理解していけばいいのかなと。
僕が何年もかけて熟成してきた哲学エッセイの中でも「正直に生きるということ」、「幸せの基準」、「僕は賢者にはならない」、「自らを由とすること」の文章は、このアドラー心理学に近しいものがあって、僕が生きている方向性は間違ってないのだなと再認識させられる本でした。
ちょっとこの本を読んだことによって、ツイッターでの炎上回数が今後減ってくるかもしれません。その点、ご了承くださいw