芥川賞受賞作 ピース又吉直樹著「火花」を読了したので書評を書きます

個人的に芸風がツボであるピース又吉直樹氏が処女作「火花」で芥川賞を受賞したということで、ミーハーな僕は早速Kindleでポチって読んでみました。

火花 kindle単行本は7月17日現在、アマゾンで在庫切れ、電子書籍のKindleは在庫という概念がないのでワンクリックで買えちゃいます。しかも単行本で買うより23%オフです。

ちなみに僕は4年前に、又吉直樹氏とスカパーのサッカー解説番組プロホガソンで軽く絡んでて、しかもその出演の数カ月後に六本木のラーメン屋でバッタリ遭遇するという偶然がありました。

又吉直樹当時の模様をTogetterにまとめてあります。

そんな経緯もあり、思い入れのある人が芥川賞を獲ったということで、速攻で読了し書評を書いてみました。

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小説初心者が読むにはちょっと敷居が高いかも…

受賞後の会見で本人も述べていますが、「1冊目に僕の本を読んで、あわへんから小説読むのやめ、というジャッジはしないでほしい。100冊読んだら絶対本好きになる」という言葉通り、あんまり活字慣れしていない人が1冊目に読む小説としては、少々敷居が高い本かなと思いました。

というのも、読者をいきなり引き込むようなダイナミックなストーリー展開があるわけでもなし、推理小説のように序盤に張りまくった伏線を最後に回収するわけでもなし、お話の内容は至って普通のお笑い芸人の日常風景なので、活字読むのが苦手な人は途中で退屈になる可能性はあるかと。

ただし、芸人同士の会話のやり取りには、何度もクスっと笑ってしまうウイットに富んだネタを差し込んでくるので、そういう部分でこの小説には、又吉ワールドなるものが明らかに存在していて、彼の世界観が好きな人は確実に引き込まれるでしょう。僕は伊坂幸太郎の小説が大好きなクチなので、こういったユーモラスな会話のキャッチボールで小説の根幹を成り立たせる作風はかなり好みです。

更に単行本で152ページとあるように、通常の小説と比べると、ちょっと短めのストーリーです。気軽にさくっと読めちゃうのも悪くないかなと。

お笑いも小説も比喩のクオリティが全てだと実感

この小説の何が凄いかって、主人公の徳永と師匠の神谷との間で繰り広げられる会話の中で、絶妙な比喩表現が何度もズバズバっと投下されるポイントかと。いちいち読者を唸らせる例え話が出てきて、僕は彼の世界観に引き込まれました。お笑い芸人も結局、例え話が上手い人が面白いわけで、その「表現方法の真理」を小説に反映させたのがこの火花という小説なんではないかと思います。

個人的に一番の読みどころは、インターネット上での誹謗中傷に対する所感を神谷がだーっとまくし立てるところ。フィクションではありつつも、著者又吉直樹の哲学がそのメッセージに込められている気がしました。

ということで、小説初心者にも「超絶面白い!」と大々的にお勧めできる本ではありませんが、哀愁漂う又吉ワールドが好きな人、比喩表現で勝負する小説が好きな人には絶賛お勧めしたい書籍です。Kindleであれば1,000円で買えるんで、未読の人は是非。

最後に告知です。

3日後の7月20日(月祝)夜に東京でカナダ女子W杯の帰国報告会やります。僕はお笑い芸人ではないのでそこまで笑かすことはできませんが、一表現者としてカナダでなでしこの7試合全て現地観戦してきた経験を語り尽くします。インターネットでは書けない現地の生情報をバンバン喋るので、サッカー好きな人にとっては興味深い話ができると思います。

先日大阪で講演した時は70人が集まり、評価は上々でした(その講演の模様はこちら)。東京講演会はまだ入れます。現在37人申込。詳細はこちら

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村上アシシのプロフィールはこちら。(先日更新しました)



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