【書評】半沢直樹シリーズ第4弾 池井戸潤著「銀翼のイカロス」

7月28日発売の「銀翼のイカロス」を読了しました。昨年放送されてブレイクしたテレビドラマ「半沢直樹」シリーズの最新作で、今作が第4弾になります。

このニュースによると、「今年発売された書籍(コミック・文庫をのぞく)で最高となる週間売上12.4万部を記録」したそうです。

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僕自身、テレビはほとんど見ない人間なので、半沢直樹のテレビドラマは一度も見たことはなかったんですが、池井戸潤氏の小説はそれ以前に「空飛ぶタイヤ」や「鉄の骨」などを読んでいて、それなりに池井戸潤の小説は好きな方でした。

で、ブラジルワールドカップの往復で計50時間も飛行機に缶詰め状態だったため、機内で半沢直樹シリーズの第1弾から第3弾までまとめて読破し、一気に池井戸潤ファンになってしまいました。個人的には東野圭吾、伊坂幸太郎とマイブームが来て、今や池井戸潤ブームです!←どんだけミーハーなんだw

そして、遂に第4弾の「銀翼のイカロス」が発売されたということで、Kindle発売日の8月1日に即ポチして、1週間で読み終わりました(ちなみにKindleで買う方が消費税分安いです)。前置きが長くなりましたが、読了後の感想を徒然と書きたいと思います。

結論から述べると、期待にたがわぬ作品です。基本的に僕は電車内で小説読むのが好きなんですが、一度夢中になり過ぎて、乗り過ごすほどでしたw

今作の内容は経営破綻した日本航空がモデルとなっています。4作通じてのことですが、合併した銀行内の派閥争いについては、僕も金融業界のクライアント相手に複数回、合併プロジェクトに就いた経験があるので、手に取るようにわかります。

また実際のJAL再生タスクフォースには僕と同業のコンサル部隊が大量に投入されていたので、そういった現場をリアルにイメージしながら読み進めることができました。

現代版チャンバラ劇とはよく言ったもので、やはり「正義は勝つ」系のストーリーは、読了後の爽快感がたまらないです。

いつ、どのタイミングで「倍返しだ!」の台詞が来るかワクワクしながら読み進めるってのも、ある意味このシリーズならではの楽しみ方とも言えますw

池井戸潤の半沢直樹シリーズをそもそも読んだことない人は、第1弾の「オレたちバブル入行組」から読み始めることをお勧めします。ストーリーが続いていて、周りの登場人物も引き継がれる設定なので。

もしテレビドラマの「半沢直樹」を見たことがある方は、諸々の設定が違う部分もあるそうですが、第3弾の「ロスジェネの逆襲」から読み始めるといいと思います(テレビドラマは第1弾、第2弾に該当)。

ここからはちょっとネタバレに該当する件を書いていこうと思います。未読の人は読み終わってから読んでください。

 

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———–<ネタバレ注意>———–

今作においてちょっと違和感があった点は、閣議決定の場にたまたま大臣が「病欠」することでポテンヒットが生まれるシーンです。3作通じて、常に半沢直樹の理詰めの問題解決手法で、ことごとく障害物を自らの手で取り払ってきたイメージがあったので、あんな重要な場面で全く無関係の第3者の「病欠」でピンチの芽が潰えるという展開は、意外でした。

また、「銀翼のイカロス」というタイトルに関連して、ギリシャ神話のたとえ話がどこかで出てくるかなーと期待して読んでたんですが、最後まで出てこなかったのも意外でした。僕の好きな東野圭吾や伊坂幸太郎は、象徴的な意味を書籍タイトルにつけて、それをストーリーの中で登場させる技をよく使うので。。

半沢直樹の奥さん、花が第3話に続き一切登場してこなかったのも、池井戸潤氏のこだわりなのかなと。仕事場をオンとすると、オフのシーンは常にお酒を飲んでいる形に統一した感がありますw

あと、ひとつ残念なのは「この2人は実は子供の頃に同級生」という伏線が第1弾、第3弾に続いて今作にも登場した点でしょうか。なんかもうちょっと伏線に工夫というか、レパートリーがあってもよかったのではないかなと。。

とまあ最後はネガティブな感想が多くなってしまいましたが、これはそもそもの期待値が高いから。フィクションと言えども、JAL再生における民主党のドタバタ劇を回想しながら、非常に興味深く読むことができました。

以上!

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