いたいコンサル すごいコンサル 【書評】

タイトルとサブタイトルが秀逸で、思わずポチってしまいました。

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本の概要

2016年9月に出版された本です。筆者は最近のコンサル業界が大衆化してしまったことに危惧していて、本物のコンサルを見抜く術をこの本で説いています。究極の参謀を見抜く「10の質問」とサブタイトルにあるように、具体的な命題を10個出して、それにどう答えるかでコンサルタントの本質に迫るアプローチで、書籍が構成されています。

この本の良い所

筆者はATカーニーとべインで戦略コンサルを16年やって、パートナーまでなった人で、その後事業会社に転職してコンサルを雇う側も経験しているので、多面的にコンサルを語れる「視座」を持っているのが、この本に「奥行き」を持たせています。

この本の悪い所

敢えて言うと、筆者が戦略コンサル出身なので、事例がほぼ上流工程ばかりなのが気になります。世間一般的に言うコンサル業界って、SIジョブ(システム導入のプロジェクト)が規模的にも予算的にも大多数を締めるので、事業会社のシステム部門の部長がコンサルを見抜くためにこの本を手に取っても、「あれ?」と違和感を感じる可能性はあるなと。

面白かった箇所

メインコンテンツはすごいコンサルなのか、いたいコンサルなのかを見抜くための10の質問だと思うのですが、個人的には一番最後の内憂外患の章が面白かったです。コンサルに求められる4つの資質として、いきなりマゾヒスト、ナルシストと断言して並べてくる潔さに笑いました。3つ目、4つ目については本書の中身をお読みください。

他にもコンサルを「高級筆記用具」に例えたり(現場の人間として耳が痛いw)、コンサルが髭を生やす理由とかウィットに富んだネタが散りばめられています。

読んでほしい層

コンサルを使う側にいる部課長陣が読むと、かなり効果的な視点を学べると思いますが、個人的には現役のコンサルにお勧めしたい書籍です。自分のコンサルスキルを多面的に総チェックできるし、今アサインされているプロジェクトに対しても、新たな示唆が提供されること間違いなしかと。また「コンサルあるある」コンテンツとして、共感しながら読めるのも良い点。

それに対して、これからコンサルティング業界を志望する学生や他業界の若手社会人が読むと、結構専門的な用語が多く使われているので、ちょっと難易度が高いかもしれません。「コンサルティング業界とは何ぞや?」の第1歩で読むにはあまり適さないと思います。

個人的な感想

僕もアクセンチュアで6年コンサルやって、独立後は10年間、クライアント直付きでコンサルとして現場に入り、時には大手コンサルファームのプロジェクトに対して、クライアントの立場から色々といちゃもんをつけるポジションにいたりするので、機会があればこれらの10の質問を使ってみようと思いますw

特に8つ目の質問で出てきた「コンサルファームは収益性を高めるためにピラミッド構造のパッケージで売ってくるから、分解発注を希望せよ」という提言は、僕ら個人コンサルの売り文句でもあります。大手コンサルのパッケージ売りに対し、僕ら個人コンサルは中古製品ではありますが、単価安めでかつバラ売り可能ですよ、といつも営業してますw

とりあえず、現役コンサルは読むべし!

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2016年の年末にプロフィールを更新しました。



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