『雨に泣いてる』真山仁著 書評 東日本大震災を題材にしたミステリー

経済小説として一世を風靡したハゲタカの著者・真山仁が新しい小説を今年1月に出版したので、Kindleで読んでみました。

雨に泣いてる

この小説はザックリ言うと、東日本大震災を題材にしたミステリー小説です。主人公は新聞記者。

個人的な評価としては、5段階評価で4.0あたりでしょうか。特徴的な部分を3つ挙げます。

1. 東日本大震災における当時の被災状況の描写がリアル過ぎる

2. ジャーナリズムの本質とは何か?をひたすら問い掛けるストーリー

3. 後半は打って変わって一気にミステリー色が強くなる

まず1つ目。小説といっても、東日本大震災に関する描写はほぼノンフィクションです。小説の序盤では3.11の都内のパニックがリアルに描かれていて、あの日東京で被災した人ならば、一気に引き込まれるかと。

記者が被災地入りした後に目の当たりにする光景も、とにかくリアル過ぎて、人によっては気分を害するかもしれません。それくらい描写がストレートです。

2番については、幻冬舎がYoutubeにあげているこの動画を見ると良いです。

壮絶な被災現場を前に、会話の中で「記者は何のために記事を書くのか」という問いがたびたび出てきます。ここら辺の、ジャーナリズムをお題にした部分は、日航機墜落事故を題材にしたクライマーズ・ハイに似ている部分があると思います(未読の人は是非読んでみてください)。色々と考えさせられます。

3つ目については、僕が5段階評価で満点にしなかった要因でもあるんですが、後半から一気に小説のテイストが変わります。

詳細の言及は控えますが、ミステリー特有の「ページをめくる手が止まらない」状態になります。ただ、この要素を東日本大震災を題材にした小説に組み込むべきだったか?というのはちょっと疑問が残ります。

トリッキーな仕掛けやスリリングな展開というフィクション特有の要素を、東日本大震災を題材にしたリアリティ溢れる小説に組み入れるのは、個人的には過剰だったかなと思います。これは人によって評価が分かれる部分かと。

  • 東日本大震災から4年が経ち、あの時の体験を小説で振り返ってみたい人
  • ジャーナリズムに興味のある人
  • ミステリー特有のドキドキ感が好きな人

これら3つに当てはまる人は必読です。Kindleで買うと、26%オフで買えます。

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