突然ですが、「社会のVUCA化」という言葉を聞いたことはありますか?
VUCAとは、
Volatility:変動性
Uncertainty:不確実性
Complexity:複雑性
Ambiguity:曖昧性
の頭文字で作られた造語です。
例えば、昭和の時代までは「サラリーマンとして出世してマイホームを建てる」という成功モデルがありましたが、今や世の中が劇的に変わって複雑化し、確実な成功モデルなんてなくなり、すべてが曖昧化している状態のことをVUCAと呼びます。
最近だとコロナ禍が起きたことで、コロナ前まで常識だったものが全てひっくり返りました。まさにVUCA化の典型例かと。
VUCA化するサッカー界で輝く西大伍
サッカー界も例外ではありません。
ひと昔前までは「プロのサッカー選手はサッカーにだけ集中してろ」という謎の風潮がありました。
それが今や、現役時代からセカンドキャリアを見据えて、サッカー以外の別のことにチャレンジするJリーガーが増えてきました。
Ambiguity=色んな境界線が曖昧化してきている象徴だと感じます。
そんなボーダレス化してきた時代に、Youtuberとしてチャレンジする現役Jリーガーが最近増えてきました。
コンサドーレだと西大伍選手が頑張ってます。12月20日現在、チャンネル登録者数が1.39万人。
そんな彼が2週間前に興味深い動画をアップしてきました。
チームメートだからこそ話せる内容
札幌ユース出身のMF高嶺朋樹が、柏レイソルに完全移籍するのが11月19日に発表されました。
海外クラブならさておき、J1中堅クラブへの完全移籍は札幌サポーター界隈で物議を醸し、ツイッターのコンサTLでは暴言を含めた批判的なコメントが溢れる事態に。
なぜかサッカー界では移籍の内情を赤裸々に語るのがタブー視されていた時代が長く、移籍する選手もありきたりなコメントしか残さずに去っていくことで、サポーターと選手間で遺恨が残るパターンが今までは多かった印象です。
そんな状況下、移籍発表から2週間足らずのタイミングでYoutuber西大伍が高嶺朋樹との対談動画をアップしてきました。
8分ちょっとの動画ですが、移籍の決断に至った背景・経緯や、その後のサポーターのリアクションに対してどう思っているのか、などの話がちゃんと本人の口から語られたことで、もやもやしていた札幌サポーターは溜飲を下げる格好になったかなと感じます。
例えばこういった内容をスポーツ新聞記者とかがインタビューして記事化しようとしても、本人はそれこそ警戒するし、表面的なことしか話せないと思うんですよね。
そこを1年間一緒にプレーしてきた、ユース時代の大先輩にあたるチームメート西大伍が質問するからこそ、本人も穏和な雰囲気で本音を語ることができたのではないかと。
しかも札幌サポーターが最も知りたかった「違約金が支払われる移籍なのかどうか?」の点も、しれっと盛り込んでいる点も良かったと思います。
札幌サポーター、移籍する本人、コンサドーレのクラブ本体、みんながハッピーになる情報発信だったなと感じます。
「移籍の内情を語るのはタブー」という業界の常識をぶち壊し、本来はマスメディアが果たすべき「真相解明」というミッションを現役Jリーガーが果たす構造は、まさに「社会のVUCA化」の象徴的な事例だなと。
西選手、これからの情報発信も期待しています!
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この記事はコンサドーレのアドベントカレンダー用に書いた記事です。
別件ですが先日、文春オンラインにデビューしました(↓)。