8月26日夜にYoutubeのJリーグTVで、遂に原博実副理事長が浦和と福島の没収試合問題について、重い口を開いてくれました。
最初の方は別の話題で、14:00から最後まで約25分間、背景説明も込みで解説しています。まだ見てない方は是非ご覧ください。
個人的には原さんが約2カ月間、この問題に一切触れずにきた理由が聞けたのは良かったかなと。
多くの課題を構造化すると見えてくるもの
今回の件、様々な論点があるんですが、コンサルとしてはこういう課題たちを構造化するのが好きです。
根本の課題は、2021年版のコロナ新ルールの設計において、ヒューマンエラーが起こる前提の運用設計を何故しなかったのか? という点です。
それ以外の論点はある意味、上記課題を解決すれば、もろとも解決するか無効化されるものばかりです。
「規律委員会が決めた処罰にJリーグは介入できない構造は、縦割り社会の弊害だ!」的な批判をしている人がいますが、これは的外れ。義務教育で三権分立習いましたよね。権力の濫用を防ぐために、行政(Jリーグ)と司法(規律委員会)が独立した組織になるのは当然。
「マッチコミッショナー(MC)は何のために存在しているんだ!」という批判も、「ヒューマンエラーは起こり得るもの」という前提に立つならば、それはクラブ職員が申請し忘れるのもMCがチェックし忘れるのも同等の過失になるので、クラブ職員のミスを擁護し、MCのミスを糾弾するのはナンセンス。
「チェック体制をデジタル化できていないJリーグ側の運営責任はどうなってるんだ!」という批判も、「システムは完全ではない」という前提に立つならば、ミスの発生比率は極限までゼロに近づけることはできるけど、完全無欠のゼロにはできない点、課題の根本解決とまではいかないかなと。
根本の課題はコロナ新ルールの妥当性
数ある課題の中で最もインパクトがあるのは、コロナ禍における新ルール(2021年試合実施要領)で、2週間に1回行われるコロナの公式検査で陰性判定を受けられなかった選手を一律で、「出場資格のない選手」と断定してしまう厳格なルールにあると思います。
感染症に知見のある岩田医師(神戸サポ)もツイッターでこんなコメントをしています。
エラーは起きてはならない、という無謬主義は霞が関界隈ではよく見る現象だが、サッカーはそもそもミスを前提としたスポーツだろ。根幹のところで間違えてどうする。
— 岩田健太郎 Kentaro Iwata (@georgebest1969) August 24, 2021
2週間に1回、2~3千人の検査を繰り返せば、例外処理が起こるのは必然。コロナ対応で現場は疲弊している環境下に、更に煩雑で厳格な運営規則を適用すれば、ヒューマンエラーが発生するのも必然。
エラーを前提としたルール設計を何故できなかったのか? 甚だ疑問です。
原博実氏の発言で最も違和感を感じた点
特に今回の原博実氏のYoutubeを見ていて違和感を感じたのは、例えばの話として、ドーピング検査で陽性だった選手が出場したケースを出してきた点。
ドーピング検査で陽性という結果は、誰がどう見ても明らかな違反で、そんな選手を試合に出させるなんて言語道断なパターン。
そんな重大な過失の例と、2週間に1回の公式検査が受けられず、別の検査を受けて陰性判定が出たのに、単にスタッフのミスで届け出を忘れた選手の例を同等に扱うなんて、すごい違和感を感じます。皆さん、どう思いますか?
ドーピングで陽性だった選手と、コロナ陰性判定得てるのにその届け出を忘れただけの選手、これら2つの例を同等に扱って勝ち点3を没収するなんて、あまりにも不条理すぎやしませんか?
浦和がCASへ提訴する内容(PDF)を読んでも、上記課題を突く路線でいくようです。
原さんは質問があれば何でも答える的な話をしてましたが、今後CASの裁判を控えているので、この点に関する所見はきっとJリーグTVのコメントで投げかけても、答えてくれないと思います。
ということで、JリーグTV見ても、なんだかモヤモヤ感は消えない結果になってしまいました。皆さんの感想も聞きたいので、ツイッターでリプください。よろしくお願いします。
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