女子ワールドカップのラウンド16、日本対オランダは2-1で勝利。炎上の話は後半で書くとして、まずは現地レポから。
僕は試合前日にカナディアンロッキーの観光から帰ってきたんですが(世界最強の世界遺産の現地レポはこちら)、試合当日の昼にカナディアンロッキーのお土産を大儀見優季に渡してきました。スタバ好きの彼女にぴったりのBANFFマグカップを。
試合当日に選手に会いに行くとか、集中乱すような行為やめろ!とか言われそうですが、意外と選手は試合当日はリラックスしてるもんなんですよ。僕が大儀見優季と仲良くなった経緯はこちら。
女子W杯の日本対オランダが開催されるバンクーバーで、トリニータユニを着ている外国人を発見!この後、スタジアムにも行くらしい! pic.twitter.com/A75eff8xr6
— 村上アシシ@カナダ (@4JPN) 2015, 6月 24
バンクーバーのBCプレイスはGS1,2戦目で来ているので、3回目の訪問です。 試合前にオランダサポーターと記念撮影会場には隣国のアメリカサポーターも多く来ていました。この日は28,717人の来場者数。54,000人入る箱なので、約半分が埋まった形。試合終了後、なでしこメンバーと共に勝利の喜びを分かち合いました!ゴール裏からは試合後、「共に行こう!栄光の頂点へ!!」という横断幕が掲げられました。
ということで、今日のブログの本題に入ろうと思います。
炎上の切っ掛け
まずは、バンクーバー入りしている当事者には直接謝りましたが、なでしこジャパンのサポーターに謝罪させてください。僕のツイートを切っ掛けに炎上させてしまい、サポーター関係者には嫌な思いをさせてしまいました。すみませんでした。
僕のみが炎上するのは何ら問題ないのですが、複数の関係者を巻き込んでしまったことは不覚でした。今後気を付けます。
炎上の切っ掛けとなったツイートはこれです。
女子W杯日本2-1オランダ、試合終了。オランダユニを着た観客が「太鼓がうるさい」と苦情を言いに来て、その後セキュリティにも苦情を言ったらしくハーフタイムにセキュリティが来て、長時間交渉するも今大会初の太鼓没収。4試合目にして初めてアウェイの洗礼を受けましたが何とか勝ち切りました! — 村上アシシ@カナダ (@4JPN) 2015, 6月 24
この呟きを切っ掛けに2chにスレッドが立ち、何十ものまとめサイトで「サカ豚、世界に恥をさらす」などと煽りタイトルが付けられて、拡散されました。
太鼓などの鳴り物に関するFIFAの運営ルール
大会の運営ルール上、鳴り物は禁止されておらず、ブラジルなど他のサポーターも太鼓を持ち込んで応援しています。僕らも今までの3試合ずっと、太鼓を使っての応援が問題なくできていました。
サッカーというスポーツは、スタンドの観客の熱気も含めて、ひとつのエンターテイメントとして成り立っています。ゴルフなどの紳士のスポーツとは一線を画します。
そういったサッカー文化を理解しているAFCは、今年の豪州アジア杯から両ゴール裏に「Active supporter zone」を設置して、太鼓などの鳴り物を使った応援するゾーンを導入していますが、FIFA主催の大会ではまだそういった措置は行われていないという背景があります。
サッカーの応援文化の中で、ゴール裏=熱狂サポーターが集まるゾーンという暗黙の了解があります。それをAFCは運営ルールに反映させているんですが、FIFAはまだ。こういった鳴り物系のトラブルは今大会に限った話ではありません。こういったトラブルを事前に運営サイドで回避させる措置をFIFAも取ってほしいです。
ちなみに太鼓自体はセキュリティとハーフタイムに交渉して、「一時預かり」という形になり、試合後に問題なく返却してもらえました。
迷惑がっている人がいるのに何故太鼓を叩くのか?
ここで例え話をしましょう。リフォーム会社が家の改築をする際、近隣の住民にリフォームのスケジュールや騒音がする時間帯などを説明しにいって、粗品を渡して「ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いします」と挨拶に行きます。
僕らも太鼓の周りにいる観客に「Please support Japan!」と声をかけて、「日の丸ハチマキ」を配る活動をしています。既に4試合で合計1,000本以上配りました。「Everybody! Clap your hands!」と声かけして、応援に巻き込むポジティブな意味もありますが、ネガティブな部分の話をすると、前述のリフォーム会社が近隣住民に配る粗品の役割も果たしているんです。
「ここはゴール裏なので、太鼓を鳴らして選手を鼓舞するサポートをします。その際、人によっては迷惑に思うかもしれませんが、是非このハチマキを巻いて、一緒に応援して頂けませんか?一緒に手拍子しながら応援すると楽しいですよ!」という意味も含めて、日の丸ハチマキを配っているんです。さすがにひとりひとりにこんな長い説明を英語ではできていませんが、これが真意です。
それでも揉めることはあります。そういう場合は、その状況を見て、ちゃんとその苦情を言ってきた人と真摯に向き合って、うまくネゴシエーションするように努力しています。僕は太鼓を叩いたり、コールをリードする役目をする人間ではないので、サポーターの少ない国際大会では、そういった現場のちょっとしたトラブルをうまく交渉してなだめる緩衝材の役割もやっています。
こうやって迷惑に思う人を極力減らす努力、苦情を言ってくる人に対してうまく交渉する努力をした上で、太鼓を鳴らして応援しているんです。
それでも苦情を言ってくる人がいる場合にどうするか?
それはもう僕らは運営サイドの判断に任せるしかないんです。
今回はオランダユニフォームを着た観客が凄い血相で文句を言いに来ました。対戦相手のサポーターと直接コミュニケーションを取るのは、更なるトラブルに発展する可能性があるので、僕らは運営側に判断を任せる選択をしました。
その運営サイドの判断が、オランダユニフォームを着た女性の主張を優先させるという結果になったまでです。セキュリティとは10分以上交渉を試みましたが、最後は彼らの指示に従いました。
ハーフタイムにセキュリティと太鼓の件で交渉している際、日の丸ハチマキを巻いたアフリカ系カナダ人が現れて、白人のセキュリティに「お前らレイシストか!」と僕らの間に入ってメッチャ抗議してた。「Fxxking white people!」とか暴言吐いて、相当俺らの味方してくれたw
— 村上アシシ@カナダ (@4JPN) 2015, 6月 24
僕らは応援をするためにはるばるカナダまでやってきています。太鼓の周りに集まり、12人目の選手として共に闘う意気込みを持っているサポーターにとっては、ある意味90分間声を出して全力で応援することがアイデンティティでもあります。何十万円と大金を払って、サポーターとして現地に「参戦」しに来た人にとって、応援を自粛させられる屈辱は計り知れません。
サカ豚と罵倒するがいい。これはもう、サッカーの魔力にとりつかれた人間にしかわからない価値観かと。
単なる独りよがりで太鼓を鳴らしているのではなく、そういった周りへの配慮を最大限した上で応援し、最終的な判断は運営サイドに任せているという経緯を、ご理解いただければと思います。
最後に余談ですが、「カナダ開催のオランダ戦をアウェイと表現する意味がわからない」というリプライも多数頂いたので、その説明もします。
ホーム&アウェイ形式の「アウェイ」という意味で使ったわけではなく、海外「遠征」という意味でアウェイという表現を使いました(awayとは遠征という意味も持ちます)。中立地開催と言えども、普段の国内のリーグ戦とは勝手が違う海外の国際大会です。そういった意味で「アウェイ」と表現しました。 最後に告知です。7月11日土曜夜に大阪で帰国報告会を開催予定です。
ブログには書けない現地ネタについては、その講演会でお話しできればと思っています。参加者には抽選で現地の英字新聞をお土産としてプレゼントします。結構な枚数をゲットしているので、それなりの確率で当たると思います。詳細はこちら
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村上アシシのプロフィールはこちら。(先日更新しました)