終末期医療や緩和ケアに興味のある人が読むべき小説 【書評】サイレント・ブレス

ロシアに飛んでくる長距離フライトで、何か本を読もうと思って色々とKindleを探していたら、こんな本を見つけてしまいました。

現役のお医者さんが書いた小説で、終末医療に携わる主人公が6人の患者の最期を看取るストーリーです。6つの短編小説ですが、主人公の医師とそれを取り囲む環境はずっと引き継がれる設定です。

モスクワに向かう機内で第1話、第2話と読み進めるに連れて、僕はこの小説を手に取ってしまったことを猛烈に後悔しました。

というのも、父親を亡くした直後に読むにはあまりにも内容が重たく、どうしても小説の情景を「父の死」に重ねてしまい、涙を流すというか嗚咽の連続となってしまったからです。

飛行機の隣の席に座っていたロシア人はきっと、隣で本を読みながら咽び泣く僕をさぞかし怪訝に思ったでしょう。

しかし、父の死についてコラムを書くと決意した僕にとって、こういった緩和ケアの実例(小説と言えども現役医師が書いた内容なので、妙に現実感があるストーリー)を知ることは非常に重要なので、頑張って最後まで読みました。

内容としては、ミステリー色を少々取り込んでいるので、単なる死を題材にした小説というよりかは、ひとつひとつのストーリーの中で、不可解な出来事(伏線)が最後に解明される要素も組み込まれています。これは好き嫌いが分かれるところでしょうが、作品が「小説」なので致し方ないかなと。

個人的には第5話、第6話が単純に僕の「父の死」に重なる箇所が多かったので、涙腺崩壊の連続でした。

終末医療、緩和ケアの現場がどうなっているのか、医師、患者、その家族がどういう思いで「死」を受け入れるのか、6つのストーリーそれぞれでまた違った色合いが出ていて、非常に勉強になりました。

一点注意すると、親族の死などの実体験が最近ある人にはお勧めしません。メンタル的に立ち直れなくなるかもしれません。

僕の実体験を読んで、緩和ケアについて興味を持った人は是非読んでみてください。

最後に告知。

—-
2016年の年末にプロフィールを更新しました。



Instagram

タイトルとURLをコピーしました